2009年01月30日

月に選ばれた男!

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 この写真は昨年10月、加賀白山比盗_社の後鎮座1200年祭で演奏した時のものです。なんという清々しさ!そう、清々しいという思いの他には、あらゆる思念が消え失せてしまうかのような、ひんやりとした空気です。そこに佇むとただただ自然の恵みに感謝したくなるのでした。境内に設けられた特設ステージでの演奏は、崩れがちな天候が心配されましたが、演奏が始まると何故かピタッと止んでしまうのです。しかも私の番になると頭上に綺麗なお月様が姿を現すのでした。それも三日間続けてなのです。 私は「自分は月に選ばれた男なのだ・・・」などと心の中で呟いては一人で笑っていました。周りの人はさぞ不気味だったことでしょう?!

なぜそんなフレーズを思いついたかというと、他愛もないことです。その時一緒に奉納演奏した和太鼓の佐藤健作さんに頂いた名詞に、「和太鼓に選ばれた男」という肩書きが書いてあったからです。面白い自己PRだなぁと感心したものでした。初めてお会いしたその時に初めて演奏を聞きましたが、私はとても感激しました。技術の確かさもさることながら、一撥打つ毎に健作さんの体の内側から えも言われぬ喜びの泉が溢れて来るかのように見えたからです。「和太鼓に選ばれた男」。いいコピーだとつくづく納得しました。それなら自分はさしずめ「月に選ばれた男」かな・・・と。体から月の明りが放射されるような尺八吹きになりたいと思ったのでした。

楽屋で歓談するうちに、お互いに初めて文化庁の芸術祭に参加することを知りました。それぞれ楽しんでいい舞台にしましょうと言ってお別れしました。それで蓋をあけたら揃って新人賞!一昨日の授賞式は嬉しい再会でした。
白山神社のご加護でしょう。必ずお礼のお参りをしたいと思っています。

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posted by 善養寺惠介 at 19:23| Comment(6) | TrackBack(0) | 日記

2009年01月26日

大阪行

1/23、24は、何とも盛り沢山の大阪行でした。
 
 メインは1/23、石堂緑子さんの地唄の会の賛助出演で、「新娘道成寺」「竹生島」「流し鈴慕」を吹かせていただきました。
 石堂さんは、故佐々川静枝先生の芸を実によく受け継がれた方で、芸に対する誠実な姿勢に、本当に頭が下がります。何より地唄に深い愛着を持たれているのが、ご一緒させて頂いて尚一層よくわかりました。気持ちの良い合奏で、とても楽しかったです。感謝しております。
 
 いつも応援して下さる栄光時計の小谷年司さんは大阪在住ですので、コンサートに駆けつけて下さり、打ち上げにもジョインして下さり、その後は小谷さんのご自宅に泊めていただきました。ボルドーの古いシャトーの赤ワインを抜いて下さり、それはそれは美味しかったのでした。ぶどうの甘味がいつまでも舌の上に残るような不思議な余韻は、他愛もない芸術談義を夜更けまで長引かせたのでした。
 小谷さんは、文学をはじめ文化についてまさに知識の宝庫というべき人物です。しかしその背景には美に対する深い愛情があるので、スノッバリーな好事家とはわけが違います。
 好みのCDを取替え引き換え聞きながら、したたか酔い、語りました・・・(^_^;)
 
 翌日は宝塚市営の「ナチュールスパ宝塚」に連れて行っていただきました。安藤忠雄設計のモダンな建物ですが、要するに温泉です。伊豆の堂ヶ島の天窓洞のように天井がポッカリと丸く空いた露天のジャグジーは、ヒンヤリとした外気の中で実に爽快です。するといい天気なのに雪が舞いはじめました。小谷さんの「風花だ・・・」との呟やきにいたく感じ入るところがあって、しばらく黙ってその風情を味わいました。湯船でほてった体を外気で冷やしてはまたジャグジーにつかって暖まり、また冷やしては暖まり、キリがないねと笑ってスパを後にしたのでした。
 
 その次は有馬温泉街のとある和食店での昼食。目の前の釜戸でご飯を炊き、目の前の炭火で焼いて出される肉や魚料理は味わい深いものでした。
 西宮在住のチェロ奏者の林さんご夫妻をそこで紹介下さり、オーケストラ団員の性格の傾向みたいな話を肴に大いに楽しく歓談。皆さんそれぞれに車の運転があるので、私だけがお酒をいただいたのが申し訳ありませんでした・・・。
 
 小谷社長みずから難波までお送り頂いたのには恐縮でした。握手をしてお別れしてから、ナント再び石堂さんと待ち合わせ。コンサートとは関係なく、「八重衣」や「玉の台」などあれこれ二時間余り合奏していただきました。これから本番でないとなると、やはりどこかリラックスしていてまた違った良さがありますね。
 
 さてまだ続きます。千日前で尺八の石川利光さんと待ち合わせ。期待通りの美味しい大衆酒場に案内頂き、念願の関西の串揚げやおでんを食べました。新幹線の最終のために短い時間で残念でしたが、最後に尺八仲間ともお話ができたので、充実した気分この上無しでした。
 
 いつも東京を離れた演奏旅行は、飛行機、電車、ホテル、ホール、飛行機、電車、自宅と、慌しいのに、こんなに中身豊かな演奏旅行は私には珍しいです。人の出会いがすべてだと、しみじみ感激したものでした。
 
 
 
posted by 善養寺惠介 at 14:41| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記