2009年05月11日

2009春の演奏会 −重音会−

 5/2(土)、日本橋劇場で開催されました。生田流宮城会の金津千重子先生ご一門の演奏会です。


 金津先生が明治大学の邦楽サークルを指導なされているので、先日の二水会と同様、若いメンバーが楽屋界隈にあふれていて、なかなかいいものですね。尺八に限って言えば学生サークル出身者は昔に比べるとかなり上手です。確かに我々が学生時代にも、プロ顔負けの上手な人はいましたが、全体的なレベルはそんなに高くなかったように思いますが・・・。これからが楽しみです。


 「松竹梅」と「融」でご一緒させて頂きました。「松竹梅」は全員芸大の後輩、「融」は芸大の大先輩、との共演です。後輩から「善養寺先生」なんて呼ばれると何だか落ち着きません。どこかで同じ世代の先輩後輩という意識があるんですね、私の心の中に。でも実際は一回り以上も年が離れていました・・・。「融」でご一緒させていただいた大先輩に「さん」づけではとてもお呼びできません。ですからそれが当たり前なのかも知れませんが、「芦垣先生」や「金津先生」のような存在感が出てくるまで、やはり「善養寺先生」と呼ばれる度にそわそわするんでしょうね・・・。


 「松竹梅」はこのメンバーで演奏できることが本当に幸福だ!という気持ちが伝わって来て実に楽しかったです。「同期の桜」的な友情とでもいうのでしょうか。歌声に艶があり、糸の音には力強さがありました。音量とスピードにも圧倒されて、これは体を鍛えなおさなくてはいけないと思った次第です。(~_~;)


 「融」は大曲です。それを本当に実感いたしました。私が始めて合奏した九州系の「融」は前弾きと手事が一段分少ないのです。時間にすればさほどの差でもないのでしょうが、それだけの違いが私には本当に重く感じられました。特に出だしの前弾きがキツイです・・・。技量の誤魔化しようのない、隠しようもない余韻の長さに気絶しそうです。糸をはじいただけの余韻、かすかに揺らぎながら消えていく余韻に聴衆の誰もが耳を傾けているのですから、持続音の尺八は迂闊なことが出来ません。では小さな音なら良いかと言うとそれがちょっとでも気弱な音ならやはり邪魔なのです。芦垣先生の「あの籬が島の〜」という冒頭の歌声が聴こえた時は「やっと前歌に辿り着いた・・・」という気分でした。
 前弾きの重圧が時の流れをとても長く感じさせるのでしょうね。やっと辿り着いた前歌の「あのーまがーきー〜」という歌い出しが、「あのーーなんだっけ?」になりそうですよね、と仰った金津先生のコメントが何故か可笑しくて、可笑しくて・・・。今回忘れられない一言です。


お二方先生には内容の濃い舞台にいつもお声を掛けて頂き、本当に有難いことと感謝しています。

posted by 善養寺惠介 at 11:14| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
zen先生の同世代の学生サークル幽霊部員としては、確かに今の学生さんたちはうまいなぁ、と思います。
現在タイのバンコク勤務のため、なかなか演奏会に伺えず、また4万人も日本人がいる街なのに、全然邦楽サークルに巡り合えなくて困っています。
恩師山口五郎先生の20年以上前のテープを聞きながら、週末に公園で一人稽古にいそしみ、「往年の学生サークル族も、息長く続けているな」と思っていただけるよう頑張りたいと思います。
すでにzen先生はお気づきと思いますが、「招春譜」を結婚式で初演していただいた者です。ご無沙汰してます。
Posted by ゆりまパパ at 2009年05月18日 23:54
これは珍しいお客様!
お久しぶりです、お元気ですか?
タイの勤務とは大変でしょうね・・・

ところで台湾は結構尺八吹く人がいるようですが、タイは仲間ができませんか・・・。
私の熱心なお弟子さんも今韓国勤務で、日本語がどこにもないようなところだそうなので、やはり休日に一人稽古だそうです。がんばって下さい。

家内がメール下さいと言っております。
よろしくお願いいたします!
Posted by 善養寺恵介 at 2009年05月19日 14:56
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